固定費削減の方法15選|中小企業が毎月の支払いをムリなく見直す手順
固定費は、売上に関係なく毎月出ていく支払いです。サブスク、通信費、電気代、複合機、保険、リース、家賃。1件だけ見ると小さくても、月末の明細を並べると「あれ、こんなに払っていたのか」となることがあります。
この記事では、中小企業や個人事業主が確認しやすい順に、固定費削減の方法を15個まとめます。まずは全部を完璧に見るより、請求書で追いやすいところからで十分です。
固定費とは
固定費とは、売上や作業量に関係なく発生する、毎月・毎年の支払いです。厳密には使用量で変わる費用もありますが、支払いを見直すときは次のような費用をまとめて確認すると整理しやすくなります。
| 費用の種類 | 主な内容 | 見直しやすい場面 |
|---|---|---|
| 光熱費 | 電気代、水道代、ガス代 | 使用量が増えている、契約内容を何年も見ていない |
| 通信費 | スマホ、固定電話、インターネット回線、FAX | 社員数や使い方が変わった、古い回線が残っている |
| サブスク | クラウドツール、会計ソフト、素材サイト、予約システム | 利用者が少ない、同じ機能のツールが重なっている |
| 設備・契約 | 複合機、リース、保守契約、保険 | 契約更新が近い、使う頻度が下がっている |
| 場所代 | 事務所、店舗、倉庫、駐車場 | 空きスペースが多い、保管物が減っている |
固定費削減の入口は、いきなり大きな契約に手を入れることではありません。まず「今も使っているか」「人数や使い方に合っているか」の2つを確認するところから始めてください。
固定費削減の主な見直し先
固定費は範囲が広いので、費用ごとに分けて確認します。すでに気になる費用が決まっている場合は、ここから個別記事に進んでください。
契約プラン、空調、照明、待機電力など。請求書と現場の使い方をセットで見ます。
スマホ、固定電話、インターネット回線、FAX。退職者の回線や古い番号が残りやすいところです。
使っていない月額サービス、機能が重なるツール、管理者不明の契約を洗い出します。
事務所・店舗・倉庫の賃料、共益費、駐車場代。更新月に合わせた交渉と縮小の進め方。
見直し対象が多すぎて迷ったとき。先に手をつけやすい20項目を順番でまとめています。
固定費削減の方法15選
まず一覧で全体を確認してください。項目名から各解説にジャンプできます。金額が大きいものより、「すぐ確認できるもの」から手をつけるほうが止まりません。
カード明細、管理画面、利用者一覧
部署ごとの利用ツール、契約プラン
契約回線数、通話量、データ使用量
利用頻度、着信履歴、古い番号
月額料金、速度、ルーターの状態
契約容量、使用量、時間帯ごとの使い方
設定温度、消し忘れ、LED化の状況
使用量、設備の不具合、水漏れ
リース料、カウンター料金、印刷枚数
利用人数、空きスペース、契約更新時期
保管物、利用頻度、月額料金
終了月、月額、解約条件
補償内容、重複、事業内容とのズレ
問い合わせ回数、対象機器、契約範囲
支払先、金額、担当者、次回確認日
サブスク・ITツールを見直す
1. 使っていないサブスクを解約する
先に見るところ:解約の前に「最終ログイン日」と「担当者への一言確認」。この2つだけで失敗はほぼ防げます。
固定費削減で最初に見つけやすいのが、使っていないサブスクです。会計ソフト、画像素材サイト、オンラインストレージ、予約システム、チャットツール。導入時は便利でも、半年後には使う人が激減しているサービスは多いです。
月末のカード明細に「これ何のサービスでしたっけ」という名前が並んでいたら、見直しの合図です。管理画面で利用者数と最終ログインを確認し、担当者に一言聞いてから止めてください。
個別の確認方法は、サブスク削減の記事で詳しく整理しています。
2. 同じ機能のITツールを一本化する
先に見るところ:用途別にツールを書き出すと、重複は一目で見つかります。
部署ごとに別々のツールを使っている会社では、似た機能のサービスが重なりがちです。ファイル共有はA、チャットはB、タスク管理はC、でも別部署では全部違う。月額費用だけでなく、探す時間や聞き直す時間も増えます。
まず、次の4つの用途に分けて、今使っているツールを書き出してください。
- 連絡(チャット・メール)
- ファイル共有・ストレージ
- タスク・プロジェクト管理
- 請求書・経理処理
表にすると、同じ役割のツールが2つ、3つ出てきます。重複が一番見えやすい費用です。
通信費を見直す
3. スマホ料金を利用状況に合わせる
先に見るところ:全員一律プランをやめ、退職者の回線と不要オプションをまず削る。法人プランを見直すだけで、毎月の支払いが下がることもあります。
会社支給のスマホは、全員同じプランのままになりがちです。営業は通話が多く、事務はほぼWi-Fi、現場は写真や動画の送信が多い。使い方が違うのに同じ契約だと、余っている人と足りない人が必ず出ます。
確認するのは次の4つです。
- 契約回線数(退職者の回線が残っていないか)
- 通話時間
- データ使用量
- オプション(古い端末の保証サービスなど)
地味ですが、見つかればすぐ下げられる費用です。
4. 固定電話・FAXの契約を整理する
先に見るところ:着信履歴を見て、鳴っていない番号から整理する。
固定電話やFAXは、昔からの取引先対応で残っていることが多い費用です。代表番号、部署番号、FAX番号、予備回線。移転や部署統合のあとに、ほとんど鳴らない番号がそのまま残っている会社は多いです。
電話帳や名刺に載っている番号は急に止めにくいので、まず着信履歴を確認し、使われていない番号から始めてください。FAXも、社内連絡や一部の書類だけならメール送付へ移せます。
5. インターネット回線と周辺機器を見直す
先に見るところ:回線を増やす前に、古いルーターと設置場所を疑う。
ネット回線は「遅いから高いプランにする」と考えがちですが、原因が古いルーターやWi-Fi環境にあることも多いです。契約を変える前に、次の4点を確認してください。
- 契約内容と月額料金
- ルーターの年式・性能
- 設置場所(事務所の奥だけ電波が弱い、など)
- 同時接続台数
「昼休みに急に遅くなる」「会議室だけ途切れる」といった話は、請求書には出てきません。実際に使っている人に聞くのが一番早いです。通信費全体の見直しは、通信費削減の記事で詳しく扱います。
電気代・水道光熱費を見直す
6. 電気料金の契約内容を確認する
先に見るところ:使用量より先に「契約容量と基本料金」を確認する。
電気代は、使用量だけでなく契約内容でも変わります。事務所、店舗、工場では使う時間帯や設備が違うため、昔の契約が今の使い方に合っていないケースが多いです。
確認するのは次の3つです。
- 契約容量と基本料金
- 月ごとの使用量の推移
- ピークになりやすい時間帯
季節パターンも手がかりになります。夏場だけ極端に上がるなら空調、冬場だけ高いなら暖房や給湯設備、通年で高いなら照明や機器の待機電力を見てください。電気代を深く見直す場合は、電気代削減の記事に進んでください。
7. 空調・照明の使い方を整える
先に見るところ:「我慢する節電」ではなく「運用で減らす節電」から始める。
エアコンは、温度設定だけでなく、フィルター清掃、サーキュレーター、日差し対策、席の配置でも変わります。夏の午後、窓際だけ暑くて全体の設定温度を下げる。よくある話です。
「エアコンを控えよう」と呼びかけるだけだと、現場が我慢する形になって続きません。遮光カーテンを付ける、席を少し動かす、会議室の消し忘れを減らす。運用でできるところから始めるほうが確実に続きます。
8. 水道・ガスの使用量を確認する
先に見るところ:請求書より先に現場を見る。水漏れは現場が知っています。
飲食店、美容室、清掃業、工場などでは、水道代やガス代も見直し対象です。蛇口の閉め忘れ、古い設備の水漏れ、トイレの不具合、給湯器の使い方。気づかないところで流れ続けている費用です。
現場に聞くと「あの蛇口、前から少し漏れています」と普通に返ってきます。請求書だけで悩むより、朝の開店準備や夕方の片付けの流れを一度見るほうが早いです。
設備・場所代を見直す
9. 複合機・プリンターの契約を確認する
先に見るところ:カラー印刷の比率とカウンター単価をまず確認する。カラー印刷は白黒より単価が高い契約が多いので、ここは先に見たいところです。
複合機は、本体のリース料だけでなく、印刷枚数に応じたカウンター料金がかかります。社内資料までフルカラーで印刷していると、月末の請求にじわっと効いてきます。
確認するのは、印刷枚数、カラー比率、リース終了月、保守内容です。印刷設定の初期値を白黒にするだけでも、担当者の手間を増やさずに削減できます。
10. 事務所・店舗の広さを見直す
先に見るところ:移転を考える前に、机と会議室の稼働率を数える。
家賃は固定費の中でも金額が大きい費用です。リモートワークが増えた、外出が多い、書類保管が減った。働き方が変わっているのに、広さだけ昔のままというケースが多くあります。
いきなり移転を検討する前に、机の稼働状況、会議室の利用回数、書類棚の量、空いているスペースを確認してください。契約更新の少し前に見ておくと、縮小やレイアウト変更を落ち着いて検討できます。
11. 倉庫・トランクルームを整理する
先に見るところ:「残す・処分・保留」の3分類で、写真ベースで決める。
倉庫代は、古い備品や使わなくなった販促物のために払い続けている費用になりがちです。イベントで使ったのぼり、古いカタログ、壊れた什器、いつか使うかもしれない箱。棚を開けると、思ったより出てきます。
処分を迷うものは、写真を撮って管理側や担当者に確認すると話が早いです。現物を前にして議論すると時間がかかるので、一覧にして「残す・処分・保留」で分けてください。
リース・保険・保守契約を見直す
12. リース契約を一覧にする
先に見るところ:終了月の3〜6か月前にカレンダー通知を入れる。これだけで防げる失敗が一番多い。
複合機、PC、電話機、車両、業務用機器。リース契約が複数ある会社では、まず一覧化します。並べる項目は次の4つです。
- 契約開始日と終了月
- 月額
- 対象機器
- 解約条件
13. 保険の重複や過不足を確認する
先に見るところ:目的は「安くする」ではなく「今の事業内容に合わせる」。
事業用の保険は、契約したときから事業内容が変わっていることが多いです。車両が減った、設備を入れ替えた、取扱商品が変わった、外注範囲が変わった。こうした変化があると、補償内容とのズレが生まれます。
確認するのは、重複している補償と、今の事業に合っていない部分です。担当者だけで判断せず、契約内容を説明してもらいながら見るほうが安全です。
14. 保守・サポート契約の利用状況を見る
先に見るところ:問い合わせ回数と契約範囲を突き合わせる。「使っていない=即解約」ではない。
システム、機器、ホームページ、サーバー、セキュリティなどの保守契約は、毎月払っていても利用実態が見えにくい費用です。問い合わせ回数、対応内容、対象範囲を確認してください。
止めると困る保守もあります。ただ、契約範囲が古い機器のままだったり、すでに使っていないサービスまで含まれていたりします。請求書の名目だけでなく、契約書まで見ると発見があります。
毎月の固定費管理を仕組みにする
15. 固定費管理表を月1回更新する
先に見るところ:月末処理のついでに15分。管理表1枚で、固定費の「増殖」を防げます。
固定費削減は、一度見直して終わりにすると必ず戻ります。新しいツールの契約、社員の増加、店舗や倉庫の使い方の変化。固定費は放っておくと少しずつ増える性質があります。
おすすめは、固定費管理表を1つ作ることです。入れる項目は次の6つです。
- 支払先
- 金額
- 支払方法
- 担当者
- 契約更新月
- 次回確認日
管理側だけで抱えず、担当者に「このサービス、今も使っていますか」と聞ける形にしておくと、必要な契約を止めてしまうミスも減ります。
固定費削減の進め方と優先順位
進め方は次の5ステップです。
- 毎月払っている費用を一覧にする──通帳、カード明細、請求書から、支払先・金額・用途・担当者を書き出す。
- 使っていない契約を探す──サブスクの管理画面や回線一覧で、最終利用日と利用者数を見る。
- 使い方に合っていない契約を探す──通信量、電気使用量、印刷枚数を、人数や業務量と比べる。
- 更新月が近い契約を優先する──リース、家賃、保守契約など、期限があるものから先に動く。
- 月1回の見直しに組み込む──固定費管理表で、増えた固定費・止められる固定費を毎月確認する。
どれから手をつけるか迷ったら、金額の大きさより「確認しやすさ」で選んでください。
サブスク、通信費、複合機
請求書や管理画面で利用状況を確認しやすく、使っていない契約も見つかりやすいです。
電気代、保守契約、保険
契約内容と使い方をセットで見ると整理しやすい費用です。現場への確認も入れます。
家賃、リース、倉庫、駐車場
金額は大きいものの、契約条件や業務への影響があります。更新時期に合わせて見ます。
固定費削減チェックリスト
当てはまるものがあれば、そこが見直し候補です。まず3つ選んで、該当する解説項目から確認してみてください。
- カード明細に、内容がすぐ説明できない月額サービスがある → 項目1
- 退職者や異動者のアカウント・回線が残っている → 項目1・項目3
- 部署ごとに似たITツールを契約している → 項目2
- スマホの利用量を半年以上見ていない → 項目3
- 固定電話やFAXの番号が昔のまま残っている → 項目4
- インターネット回線の契約を何年も変えていない → 項目5
- 電気代が上がっている理由を説明できない → 項目6
- 会議室や倉庫の照明・空調がつけっぱなしになりやすい → 項目7
- 複合機のカラー印刷枚数を把握していない → 項目9
- 倉庫に使っていない備品や販促物が残っている → 項目11
- リース契約の終了月を一覧で見られない → 項目12
- 保険の補償内容を最近確認していない → 項目13
- 保守契約をどのくらい使っているかわからない → 項目14
- 固定費を管理する一覧表がない → 項目15
よくある質問
- 固定費削減は何から始めると進めやすいですか?
- サブスク、通信費、複合機、電気代のように、請求書やカード明細で確認しやすいものから始めてください。いきなり家賃や大きな契約に手を入れるより、使っていない月額サービスや古い回線を探すほうが社内でも進めやすいです。
- 固定費はどこまで削ってよいですか?
- 業務が止まるもの、取引先対応に影響するもの、従業員の作業環境に関わるものは慎重に判断してください。安くすることだけを優先すると、現場の手間やトラブル対応が増えます。削る前に、実際に使っている人へ確認しておくと安全です。
- サブスクはどのように整理すればよいですか?
- まず支払先、月額、利用者、管理者、最終利用日を一覧にします。そのうえで、使っていないもの、同じ機能が重なっているもの、プランが過剰なものに分けてください。解約前に担当者へ確認する流れにしておくと、必要な作業まで止めてしまうミスを防げます。
- 電気代はすぐ下げられますか?
- 契約内容の見直しで下がる場合もありますが、空調や照明の使い方も一緒に見るほうが効果が出ます。エアコンのフィルター清掃、会議室の消し忘れ防止、LED化、日差し対策など、現場で続けやすい対策から始めてください。
- 固定費の見直しは誰が担当するとよいですか?
- 経理や管理側だけで進めるより、実際に使っている担当者を巻き込むほうがうまくいきます。管理側は金額を見られますが、現場は使い勝手や困りごとを知っています。月末の請求確認に合わせて「今も使っていますか」と聞くだけでも、かなり情報が集まります。
まとめ
固定費削減は、毎月の支払いを1つずつ確認する作業から始まります。
使っていないサブスク、昔のままの通信プラン、誰も見ていない保守契約、更新月を過ぎたリース契約など、月末の請求書を見ながら確認すると、意外と出てきます。
まずは一覧にする。使っている人に聞く。更新月をメモする。これだけで、固定費の見え方は大きく変わります。電気代、通信費、サブスクなどは個別に見直す余地があるので、気になる費用から順番に確認していきましょう。小さく始めて、毎月続けるくらいの進め方がちょうどいいです。