ホーム DXツール 勤怠管理システム比較

勤怠管理システム比較|中小企業向けの選び方と失敗しない見方

中小企業が勤怠管理システムを比較して出退勤や残業時間を確認するイメージ
勤怠管理システムを探し始めると、打刻、シフト、有給、残業、給与連携、アプリ対応……と機能名が一気に出てきます。画面を見比べているうちに、どれも良さそうに見えて、結局決められない。正直、ここで止まる会社はかなり多いです。

しかも2023年4月からは、中小企業も月60時間超の残業に対して割増率50%が義務化されています。労働時間を正確に把握できていないと、気づかないうちに割増賃金の計算が合わなくなります。「急いで入れるほどでもないか」と後回しにしてきた会社ほど、この点は早めに確認しておいたほうがよいです。

最初に見るべきなのは機能の多さより、自社の働き方に合う打刻方法と、月末の集計がどれだけ楽になるか。事務所勤務だけなのか、店舗や現場があるのか。シフト制なのか、固定時間なのか。そこを外すと、せっかく入れてもExcel確認が残ります。
労務ルールは公式情報・専門家にも確認してください この記事では、中小企業が勤怠管理システムを比較するときの見方を中心にまとめています。就業規則や労務上の判断は、厚生労働省の公式情報や社会保険労務士などにも確認しながら進めてください。

まず押さえたい法令の背景

勤怠管理システムを「あると便利」くらいに思っている会社も多いですが、2023年以降は少し状況が変わっています。

① 月60時間超の残業割増率が50%に(2023年4月〜中小企業も適用)

それまで中小企業は月60時間超の残業割増率が25%でした。2023年4月から猶予が撤廃され、大企業と同じ50%以上が義務化されています。60時間以下の残業は引き続き25%以上ですが、60時間を超えた分は計算が変わります。

月給25万円の人が月70時間残業した場合、60時間分と10時間分で割増率が変わる。それを正確に計算するには、労働時間の記録がきちんと残っていないと難しい。タイムカードを手入力で集計している会社は、ここで時間と計算ミスの両方が出やすいです。

② 労働時間の記録・保存義務(原則5年、当面3年)

労働基準法の改正により、賃金台帳・出勤簿などの労働関係書類の保存期間が3年(将来的に5年)に延長されています。紙のタイムカードや手書きの記録を何年分も保管するのは、物理的にも管理上も手間がかかります。クラウド型の勤怠管理システムであれば、データとして蓄積されるので保存の手間が減ります。

詳細は厚生労働省の情報や社会保険労務士にも確認してください。

「今すぐ法令違反になるわけじゃないし」と思う場合もあるかもしれませんが、月末に60時間を超えた人を見落とすリスクは、システムがないと意外と高いです。特に残業が多い月(繁忙期、人手不足の時期)はそのまま流してしまいやすい。

勤怠管理システムでできること

出退勤の打刻を記録するだけのものではありません。打刻データをもとに、労働時間、残業時間、遅刻、早退、休暇、シフト、給与計算に使うデータまでまとめて管理できます。

紙のタイムカードやExcelで管理していると、月末に担当者が1人ずつ確認する流れになりがちです。印字が薄いタイムカードを見ながら、休憩時間を引いて、残業を計算して、給与ソフトに転記する。夕方になると目がしょぼしょぼしてくる、あの作業です。

10人を超えてくると、打刻漏れの確認や残業集計のズレが出やすくなります。20〜30人になると、担当者ひとりで締め処理をする時間が月に1〜2日単位になることも。

出退勤の打刻

PC、スマホ、ICカード、タブレット、GPSなどで出勤・退勤を記録します。

労働時間の自動集計

出退勤時刻から勤務時間・休憩・残業を集計。月末の手計算が減ります。

シフト管理

店舗・飲食・介護など、シフト制の勤務表を作成・共有しやすくします。

有給休暇の管理

残日数・取得状況・申請承認を管理。紙の申請書を探す手間も減ります。

残業・休日出勤の確認

残業が多い人、休日出勤が続いている人を早めに把握しやすくなります。

給与ソフトとの連携

集計した勤怠データを給与計算ソフトへ渡せます。転記ミスを減らしたい会社に。

タイプ別の特徴

会社の規模や働き方によって合うタイプが変わります。単純に「有名だから」「料金が安いから」で選ぶと、打刻方法やシフト管理が合わず、結局Excelを併用することがあります。

クラウド型(標準)

ブラウザやスマホアプリから使うタイプ。中小企業では最も選ばれやすい形式です。

  • 初期費用を抑えやすい
  • 在宅勤務や外出先の打刻に対応しやすい
  • 月額料金は人数に応じて増えることが多い

ICカード・打刻機連携型

社員証や交通系ICカード、専用打刻機で記録するタイプ。事務所・店舗向きです。

  • 出勤時にタッチするだけなので分かりやすい
  • 共用PCが少ない現場でも使いやすい
  • カード忘れや代理打刻の対策は考えておきたい

シフト管理特化型

飲食・小売・介護・警備など、勤務時間が人によって違う会社向きです。

  • シフト作成と勤怠実績を比べやすい
  • 店舗別・部署別の人件費を見やすい
  • 固定時間勤務の会社では機能が余ることも

給与・労務ソフト一体型

勤怠・給与計算・年末調整・労務手続きを同じサービス内で扱えるタイプです。

  • 勤怠データを給与計算に回しやすい
  • 人事労務をまとめて整理したい会社に合う
  • 既存の給与ソフトを使い続ける場合は連携確認が欠かせない

主要サービスの比較

よく比較される主要5サービスを整理しました。料金はいずれも公式サイト等に基づく目安で、プランや人数によって変わります。導入前に最新情報を確認してください。

サービス名 月額目安 打刻方法 シフト管理 給与連携 特徴・向き不向き
KING OF TIME 1人330円
(初期費用なし)
PC・スマホ・IC・顔認証・指静脈など10種以上
(主要ソフト多数対応)
打刻の柔軟さが業界トップクラス。多拠点・現場が多い会社に強い。給与ソフトは別途必要。
ジョブカン勤怠管理 1人200円〜
(機能により加算)
PC・スマホ・IC・GPS
(ジョブカン給与と一体化しやすい)
UIがシンプルで使いやすいと評判。経費・労務・採用も同シリーズで揃えたい場合に向く。
マネーフォワード
クラウド勤怠
50名以下で月額2,980円〜
(プランによる)
PC・スマホ・IC・GPS・Slack連携
(MFクラウド給与とワンクリック連携)
マネーフォワードの会計・給与をすでに使っている会社との親和性が高い。初心者でも使いやすい画面設計。
freee勤怠管理Plus 1人300円
(初期費用なし)
PC・スマホ・IC・GPS・LINE連携
(freee人事労務と一体)
freee会計・freee人事労務と組み合わせてバックオフィスをまとめたい会社に向く。LINEで打刻できる点は店舗系に便利。
楽楽勤怠 99名以下は1人275円〜
(月額最低30,000円)
PC・スマホ・IC・Slack打刻
(弥生・PCA・給与奉行など対応)
電話・Web会議サポートが月額に含まれている。導入支援が手厚く、ITに不慣れな会社でも進めやすい。最低料金があるため少人数には割高になりやすい。
どれも「打刻」の画面は似ています。差が出るのは月末の締め処理の画面です。
無料トライアルでは、必ず管理者側で「締め処理→エラー確認→CSV出力」の流れまで試してみてください。ここが直感的に動かせるかどうかで、担当者の月末の体感がかなり変わります。

比較するときに見る項目

料金表だけで決めないほうがよいです。月額が安く見えても、打刻機・初期設定・給与連携・サポートで費用が変わることがあります。それより先に、自社の勤怠で詰まっている場所を見たほうが判断が速い。「打刻漏れが多い」のか、「シフト作成に時間がかかる」のか、「給与計算前の集計がつらい」のか。困っている場所で、見るべき機能が変わります。

1打刻

打刻方法が現場に合うか

PC、スマホ、ICカード、タブレット、GPSなど。従業員が朝の忙しい時間に迷わず使える方法を選びます。

2集計

残業・休憩の計算が合うか

休憩の自動控除、残業時間、深夜勤務、休日出勤など、自社の勤務ルールに合うかを見ます。60時間超の割増計算が自動でできるかも確認を。

3申請

修正・休暇申請が簡単か

打刻漏れ、遅刻、早退、有給、残業申請などを従業員と管理者が扱いやすいか確認します。

4給与

給与ソフトとつながるか

CSV出力だけで足りるのか、APIで連携したいのか。月末の転記作業に直結します。

5権限

部署別・店舗別に管理できるか

店長・部門長・経理・経営者で見たい情報が違います。権限設定の細かさも見ておきたいところです。

6費用

月額以外の費用があるか

初期設定・打刻機・サポート・オプション・最低利用人数などを確認します。

導入前に確認する流れ

申し込めばすぐ使えるように見えますが、勤務ルールや締め日を整理しないまま入れると、初期設定で手が止まります。最初に自社のルールを紙に書き出すくらいのほうが、あとで楽です。

1

今の勤怠管理の流れを書く

誰が打刻し、誰が確認し、誰が給与計算に渡しているのかを整理します。紙・Excel・タイムカード・メール申請が混ざっている場合は、流れを1本ずつ書き出します。

  • 打刻方法
  • 打刻漏れの修正方法
  • 有給・残業・休日出勤の申請方法
  • 給与計算前の集計方法
2

勤務ルールを確認する

所定労働時間・休憩・残業・深夜勤務・休日・締め日・有給の扱いを確認します。ここがあいまいだと、集計結果を見ても「これで合っているのか」と迷います。

小さな会社ほど、昔からの運用がそのまま残っていることがあります。ここで一度見直すと、導入後の問い合わせが減ります。

3

候補を2〜3つに絞って試す

最初から10サービスを細かく比べると疲れます。打刻方法・シフト管理・給与連携を基準に候補を絞って、無料トライアルを試すほうが現実的です。

サンプル社員を数人作り、出勤・退勤・打刻修正・有給申請・締め処理まで試します。実際の月末に近い形で動かしてみると、合う・合わないがはっきりします。

4

1部署・1店舗から始める

全社で一気に切り替えるより、まず1部署や1店舗で試すほうが安全です。従業員がどこで迷うか、管理者がどの画面で止まるかを見てから広げます。

初月は打刻漏れや申請忘れが出ます。これは失敗というより、運用を整える期間。説明文やマニュアルを少しずつ直すと定着しやすくなります。

月末処理での使い方

勤怠管理システムを入れても、月末処理が完全になくなるわけではありません。作業の中身が変わります。手入力で集計するのではなく、打刻漏れや申請漏れを見つけて直す作業に寄せていきます。

1

締め日前にエラーを確認する

月末当日に一気に見ると大変です。25日ごろに打刻漏れ・休憩未入力・未承認申請を一度確認しておくと、締め日のバタつきが減ります。残業が多い人の60時間超えも、この時点で見ておくと給与計算がスムーズです。

2

従業員に修正申請を出してもらう

担当者が勝手に直すのではなく、本人から修正申請を出してもらう流れにすると、後から説明しやすくなります。新人にはここで少し説明がいります。

3

管理者が承認する

部門長や店長が、残業・有給・打刻修正を確認します。承認が止まりやすい会社では、締め日前に管理者へ通知する運用を作ると楽です。

4

給与計算用データを出す

締め処理後、給与ソフトへ連携またはCSV出力します。出力項目が給与ソフトの取り込み形式と合っているか、最初の月はかなり丁寧に確認したほうが安心です。

ありがちなミスと対策

「システムを入れれば自然に整う」と思ってしまうのが一番よくあるパターンです。打刻ルールや承認ルールを決めないと、システムの中で迷子になります。

打刻方法を現場に合わせていない

事務所ではPC打刻でよくても、現場や店舗では使いにくいことがあります。スマホ・ICカード・タブレットなど、実際の出勤場所で試してから決めます。

従業員が朝の忙しい時間に迷わず打刻できますか?

給与ソフトとの連携を後回しにする

勤怠データは出せても、給与ソフトにそのまま取り込めないことがあります。項目名・形式・休暇区分・残業区分を最初に確認しておくと、月末に焦りません。

給与計算で使う項目と、勤怠システムの出力項目は合っていますか?

承認者を決めていない

打刻修正や残業申請が出ても、誰が承認するのか決まっていないと止まります。部署別・店舗別・管理者不在時の代行まで決めておくと流れます。

締め日前に未承認が残ったとき、誰が確認しますか?

有給管理だけ別のExcelに残る

勤怠はシステム、有給はExcel、申請は紙のままだと二重管理になります。有給残日数と申請履歴をどこで見るか、先に決めておきます。

有給の残日数を、従業員と管理者が同じ画面で確認できますか?

残業60時間超えの集計を見落とす

2023年4月以降、月60時間超の残業割増率は50%です。アラート設定がないシステムや、設定していても通知を見落とすケースがあります。締め前に一覧で確認する運用をルール化しておくと安心です。

月60時間を超えた従業員を、締め前に確認する仕組みがありますか?

最初から全機能を使おうとする

シフト・給与連携・アラート・有給・工数管理まで一気に使うと、現場が追いつかないことがあります。まずは打刻と締め処理から始めるほうが続きやすいです。

初月に使う機能を3つくらいに絞っていますか?

立場別の見方

見る人によって評価ポイントが変わります。比較するときは、自社で一番「月末がつらい人」の視点で画面を触ってみると判断しやすいです。

新人・従業員

出勤・退勤・休憩・有給申請が迷わずできるかを見ます。画面が複雑だと打刻漏れや申請忘れが増えます。

総務・経理担当者

月末の締め処理・エラー確認・給与ソフトへの連携を見ます。ここが楽になると、導入効果を一番実感します。

店長・部門長

部下の勤怠・残業・休暇申請を確認します。スマホで承認できると、店舗や外出先でも止まりにくくなります。

経営者・管理側

残業時間・人件費・店舗別の状況を見ます。月60時間超えの人がいないか、早めに数字で見えると対応が取りやすいです。

よくある質問

勤怠管理システムは何人くらいから検討したほうがよいですか?

明確な人数の基準はありませんが、10人前後を超えてくると打刻漏れ・残業集計・有給管理の手間が目立ちやすくなります。人数が少なくても、シフト制や外出が多い会社なら早めに検討してもよいです。また、2023年以降は月60時間超の残業割増率50%が中小企業にも適用されているので、労働時間を正確に把握したい会社は人数に関わらず考えてみる価値があります。

料金の相場を教えてください

クラウド型の場合、1人あたり200〜400円程度が一般的な目安です。初期費用は無料のサービスが多いですが、打刻機(ICカードリーダーなど)が別途かかることがあります。また、楽楽勤怠のように月額最低料金が設定されているサービスもあるため、少人数の場合は割高になることも。まず2〜3社の無料トライアルを試してから判断するほうが、後悔が少ないです。

無料の勤怠管理システムでも足りますか?

少人数で、打刻と簡単な集計だけなら足りることがあります。ただし、有給管理・シフト管理・給与ソフト連携・サポート・保存期間などで制限が出る場合がほとんどです。無料で始める場合も、将来の人数増加と、60時間超の残業集計が自動でできるかは確認しておいたほうがよいです。

スマホ打刻やGPS打刻は使ったほうがよいですか?

外回り・現場・訪問・直行直帰が多い会社では便利です。事務所勤務が中心なら、PC打刻やICカード打刻で十分なこともあります。GPSを使う場合は、従業員への説明と運用ルールを先に整えておくと、後から「監視されてる」という声が出にくくなります。

月60時間超の残業割増率の変更に、勤怠管理システムは対応していますか?

主要なクラウド型サービスは対応しているものがほとんどです。ただし、設定が必要なケースもあります。無料トライアル中に「60時間超えの自動集計ができるか」「給与ソフトへの出力時に60時間以下分と60時間超分を分けて出せるか」を確認しておくと安心です。

導入で失敗しないために最初にやることは何ですか?

今の勤怠締め作業を整理することです。誰が何を見て、どこで時間がかかっているかを書き出すと、選ぶべき機能が見えます。サービス名から比べるより、今の詰まりから逆算したほうが選びやすい。次に、無料トライアルで管理者側の締め処理画面まで触ること。打刻画面だけを見て判断すると、月末になって初めて「ここが使いにくい」と気づきやすいです。

まとめ

2023年4月から中小企業も月60時間超の残業割増率が50%になっています。労働時間を正確に把握できていないと、気づかないうちに計算が合わなくなる。この点で、勤怠管理システムの「必要性」は以前より少し上がっています。

比較するときは、料金だけでなく打刻方法と月末の締め処理のしやすさを見るのが近道です。事務所勤務ならPC・ICカード打刻、店舗・シフト制ならシフト管理機能、外回りが多いならスマホ・GPS打刻。給与ソフトとの連携も、月末処理の負担に直結します。

KING OF TIMEは打刻の柔軟さ、ジョブカンはシリーズ統合のコスパ、マネーフォワードは同シリーズとの連携、freeeはバックオフィスのまとめ、楽楽勤怠はサポートの手厚さがそれぞれの強みです。いずれも無料トライアルがあるので、候補を2〜3つに絞って月末処理の画面まで試してみてください。

最初から全社で完璧に動かそうとしなくて大丈夫です。1部署や1店舗から始めて、打刻漏れ・承認・締め処理の流れを整える。少し地味ですが、この進め方のほうが現場に残りやすいです。